温泉と森林浴・森林セラピーが楽しめるエリア【東北編】
川沿いに点在する癒やしの森と名湯を巡る――東北には、森林浴の森日本100選や森林セラピー基地・森林セラピーロードに選ばれた森林と温泉を併せ持つ、なんとも贅沢な市町村がいくつもあります。フィトンチッドに包まれた森歩きで得られるリラックス効果と、歴史ある湯のぬくもりを組み合わせれば、極上のひと時を味わえます。ここでは森と湯を両取りできる5つのエリアをご案内します。
宮城県仙台市の温泉と森林浴・森林セラピー基地
宮城県仙台市
「杜の都」と称される宮城県仙台市は、市街地からわずかに足を伸ばせば豊かな森林と名湯が広がる、自然と都市が調和した街です。伊達政宗が築いた歴史文化の上に、市民の憩いの森「仙台自然休養林」や「宮城県県民の森」が広がり、フィトンチッドを浴びる森林浴が気軽に楽しめます。また、政宗ゆかりの作並温泉や斉明天皇伝説が残る秋保温泉など、古くから親しまれる名湯も点在。都市にいながら、科学的根拠に基づくリラックス体験ができる“森と湯”の拠点です。
仙台自然休養林/宮城県県民の森(森林浴の森日本100選)
杜の都の奥深く、ミズナラ・ブナが発するフィトンチッドが爽快。小鳥のさえずりと渓流音が同調し、歩くほどにリラックス効果が高まる。季節ごとのネイチャーガイドや薪割り体験も充実し、伊達政宗公の時代から守られてきた“みどり”を五感で満喫できる。
作並温泉
泉質:ナトリウム・カルシウム‑塩化物泉。保温性が高く“熱の湯”と称される。伊達政宗が出陣前に湯浴みしたという言い伝えが残り、渓流沿いの混浴露天は開放感抜群。渓谷美とともに心身をゆるめる古湯。
秋保温泉
泉質:ナトリウム・カルシウム‑塩化物泉。1300 年の歴史を誇り、斉明天皇の皮膚病を癒したと伝承される。磊々峡を望む湯宿が多く、伝統こけしや現代アートとのコラボも楽しい。
岩手県八幡平市の森林浴・森林セラピー基地と温泉
岩手県八幡平市
十和田八幡平国立公園に抱かれた岩手県八幡平市は、ブナ林や湿原が広がる高原地帯。四季折々に表情を変える自然は、まさに“癒やしの森”そのものです。中でも安比高原のブナ林は「森林浴の森日本100選」に選ばれ、フィトンチッドが豊富な森での散策は科学的にも高いリラックス効果が認められています。さらに、藤七温泉や松川温泉など秘湯が点在し、登山やトレッキング後の温泉浴にも最適。雲上の癒やしと湯けむりが交差する、東北屈指のセラピーエリアです。
安比高原ブナ林(森林浴の森日本100選)
十和田八幡平国立公園の標高1000 mに広がる天然ブナ林。白い幹が放つフィトンチッドと高原の風が交わり、体内の副交感神経が優位になるリラックス効果が科学的に計測済み。新緑と紅葉のコントラストは格別だ。
松川温泉
泉質:単純硫黄泉。山肌から湧く白濁湯は美肌と疲労回復に定評。宮沢賢治が岩手山観測の折に逗留した記録が残る。露天から望むブナの新緑と雪景色は絶景。
藤七温泉
泉質:酸性硫黄泉。東北最高所の泥湯で、地熱の蒸気が地表を彩る月面のような景観が特徴。登山家 植村直己が岩手山縦走中に好んで利用したと言われる雲上の秘湯。
秋田県鹿角市の温泉と森林浴・森林セラピー基地
秋田県鹿角市
秋田県鹿角市は、十和田八幡平国立公園の西の玄関口。ブナやダケカンバの森が広がる八幡平は「森林浴の森日本100選」に選ばれ、癒しの拠点として認定された「森と水の癒し里かづの」では森林セラピーロードも整備されています。森林セラピーは、科学的な証拠に裏付けされた森林浴のこと。心拍やストレス値の変化を体感しながら、五感で癒されます。さらに鹿角は、後生掛・大湯・蒸ノ湯など泉質も文化も多彩な温泉郷。森と湯の贅沢が日常のすぐそばにあります。
八幡平(森林浴の森日本100選)
ブナやダケカンバの原生林が広がり、沢沿いの遊歩道ではフィトンチッドの濃度が高く血圧が安定するリラックス効果が報告される。湿原の高山植物も豊かで四季の彩りが楽しい。
森と水の癒し里かづの(森林セラピーロード)
森林セラピーは、科学的な証拠に裏付けされた森林浴のことです。渓流沿いのロードに足湯付きテラスが点在し、心拍変動を測定しながら自分のストレス値を実感。ガイドが呼吸法をレクチャーしてくれるのも嬉しい。
大沼温泉
泉質:弱酸性の単純泉。マタギ文化に育まれ、ブナ林散策後に立ち寄る地元客が多い。歌人与謝野晶子が逗留し「雪の湯けむり」を詠んだ。
大湯温泉
泉質:ナトリウム‑炭酸水素塩泉。秋田藩主佐竹氏の御殿湯として発展。川端康成が執筆合宿を行った記録が残る。
後生掛温泉
泉質:酸性硫黄泉。泥火山やオンドル床がユニーク。与謝野鉄幹・晶子夫妻が湯治し短歌を遺す。
志張温泉
泉質:カルシウム‑硫酸塩泉。坂上田村麻呂伝説が残り、武運長久を祈ったとされる薬湯。
湯瀬温泉
泉質:アルカリ性単純泉。“肌の湯瀬”と呼ばれ、昭和天皇が行幸時に入浴。峡谷美と滝の音が心に響く。
蒸ノ湯温泉
泉質:酸性硫黄泉。地面から噴き上がる蒸気を利用した天然スチーム風呂が名物。俳人種田山頭火が旅日記にその風情を記した。
山形県鶴岡市の温泉と森林浴・森林セラピー基地
山形県鶴岡市
山形県鶴岡市は、出羽三山信仰を今に伝える“山岳修験の地”として知られています。羽黒山の参道を覆う杉並木や、高館山自然休養林は「森林浴の森日本100選」に選ばれ、森そのものが祈りと癒やしの空間。フィトンチッドを多く含む空気と、歴史ある石段が導く森歩きは、科学的なリラックス効果だけでなく、精神的な浄化ももたらしてくれます。一方、日本海に面したあつみ温泉は、松尾芭蕉も訪れた湯どころ。信仰と自然と湯が融合する、庄内ならではの癒やしがここにあります。
羽黒山参道の杉並木・高館山自然休養林
2,446段の石段を覆う杉の巨木群は、まさに「緑の回廊」。フィトンチッドに満ちた空間で、呼吸が深まり心身が浄化されていくのを感じられます。高館山では庄内平野や日本海を一望でき、風に揺れる葉音が心を整えてくれます。
あつみ温泉
泉質はナトリウム・カルシウム‐塩化物泉。1300年の歴史を誇り、江戸時代には庄内藩主の御用湯でもありました。海と山に抱かれた温泉地で、地元の食文化と調和したやさしい湯が、旅の疲れをほどいてくれます。
福島県会津若松市の温泉・森林セラピー基地
福島県会津若松市は、歴史と自然が調和する城下町。森林浴の森に選ばれた背あぶり山からは、猪苗代湖や会津盆地を一望でき、フィトンチッドに満ちたブナの森が心をほぐします。セラピー効果が高く、静かな森歩きで得られるリラックス効果は格別です。一方、東山温泉や芦ノ牧温泉といった歴史ある湯は、白虎隊や野口英世ゆかりの地でもあり、文化的な奥行きも深いエリア。歴史情緒と癒やしの自然が溶け合う会津で、心と体にやさしい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
背あぶり山(森林浴の森日本100選)
標高1000 m弱の稜線に設けられたセラピーロード。フィトンチッド豊富なブナやミズナラ林の間から猪苗代湖を遠望し、リラックス効果は抜群。秋の夜にはブナ紅葉が月明かりに輝く。
東山温泉
泉質:含硫酸塩・塩化物泉。会津藩主松平容保や白虎隊士が疲れを癒やした歴史の湯。渓流沿いの露天にホタルが舞い、会津絵ろうそくの灯が湯煙を彩る。
芦ノ牧温泉
泉質:アルカリ性単純温泉。野口英世が青春期に湯治した記録が残る。急流阿賀川を望む宿が多く、猫駅長「ばす」が迎える会津鉄道駅からのアプローチも旅情満点。
まとめ
東北の森と湯は、科学と歴史が裏付ける本物の癒やし。フィトンチッドがもたらすリラックス効果で心を解きほぐし、個性豊かな泉質の名湯で体をほぐせば、ストレスは川の流れのように遠ざかります。仙台の杜、八幡平の雲上、鹿角の湯治文化、出羽三山の霊杉、会津の歴史情緒――五つのエリアが奏でる“森と湯の交響曲”を味わい、次の休日は川旅でリフレッシュしてみませんか。
